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 ■台風12号被害、紀勢本線(JR東海区間)の復旧を振り返る

台風12号の被害により不通となっていた、熊野市〜新宮の運転が10月11日に再開されました。
(紀勢本線のJR東海区間)

いまだJR西日本の紀伊勝浦〜新宮間は復旧工事の最中ではありますが、ここでは熊野市〜新宮間の復旧までの動きを追ってみたいと思います。

台風12号の接近により、紀勢本線は9月2日の14:07から運転見合わせ。
そして、3日〜4日の大雨により各所で被害が発生しました。

多気〜新宮間での主な被害状況

・16カ所で道床流出。
・井戸川橋梁(熊野市駅構内)の路盤崩壊、橋脚5本の内、1本が流出。
・熊野市駅構内の転轍機故障。



道床の復旧は7日朝までに12カ所で完了し、被害の少なかった多気〜紀伊長島間は6日20:28に運転を再開。
そして紀伊長島〜尾鷲も同じ日の21:54に運転を再開します。

▲9月7日の335D。「尾鷲」の方向幕で運転。  撮影:DF5034さん(相賀駅)

本来335Dは紀伊長島以南をキハ40単行で運転されますが、大雨による暫定ダイヤでは、熊野市まで3両で運転。
熊野市からは折返し340Dとして紀伊長島まで運転。さらに回送で多気まで戻り、翌日の325Dの運用に就くという措置が、10月11日朝まで続いた模様です。


翌7日、特急ワイドビュー「南紀」が名古屋〜尾鷲間、4本/日の体制で運転再開。

【下り】
南紀1号 名古屋 8:08発、尾鷲10:34着
南紀5号 名古屋12:58発、尾鷲15:34着

【上り】
南紀6号 尾鷲13:33発、名古屋16:06着
南紀8号 尾鷲18:15発、名古屋20:44着


尾鷲〜新宮間で特急に接続する代行バスを運転。
また熊野市〜新宮間でも、上下16本の代行バスも運転開始。

同日、21:54には線路点検を終えた尾鷲〜熊野市間でも運転を再開しました。


しかし井戸川橋梁の損壊など被害の大きかった熊野市〜新宮間は復旧の見込みが立たず、多気〜熊野市間は鉄道輸送。
熊野市〜新宮間はバスによる代行輸送が本格的に始まり、再開前日の10月10日まで続けられます。

8日以降、特急ワイドビュー南紀は、運行区間を名古屋〜熊野市としたものの、運転本数は4本/日は変わらず。

【下り】
南紀1号 名古屋 8:08発、熊野市11:01着
南紀5号 名古屋12:58発、熊野市16:03着

【上り】
南紀6号 熊野市13:06発、名古屋16:06着
南紀8号 熊野市17:48発、名古屋20:44着

特急接続の代行バスは、熊野市〜新宮間に変更。
※9月17日以降、紀伊勝浦まで延長。


普通列車は以下の列車を除き、所定ダイヤで運転。

【下り】
335D 多気発、新宮行・・・多気駅〜梅ヶ谷間、時刻変更
337D 亀山発、新宮行・・・紀伊長島〜新宮間、運休

【上り】
326D 新宮発、多気行・・・熊野市〜賀田間、時刻変更
336C 新宮発、亀山行・・・新宮〜紀伊長島間、運休
338C 新宮発、多気行・・・伊勢柏崎〜三瀬谷間、時刻変更

熊野市発着の列車に合わせて、上下20本の列車代行バスを運転。

▲9月8日以降、日中の新宮行きは「熊野市」行きで運行。
  ススキの穂がたなびく運行再開前日まで、この姿が見られました。
 (撮影:10月10日 DF5034さん)


▲熊野市駅、2番ホームに進入するワイドビュー南紀1号。(9月30日撮影)
  通常、下り列車は1番ホームに入りますが、折返し設備の関係上、2番又は3番ホームに入線をしました。
  ※写真では判りづらいですが、1番線は進入できないように標識が立てられています。

▲代行バスの様子。(9月30日撮影)
  ワイドビュー南紀1号に接続し、紀伊勝浦まで運行する、特急代行。

  代行バスは三重交通の各営業所から動員された車両と人員により行われました。




9月2日の運転見合わせ以降、熊野市〜新宮間で留め置かれていたJR東海・JR貨物の車両は以下の通り。


【熊野市駅】
・キハ11、2両編成×1

【鵜殿駅】
・DD51×1(875号機)
・コキ×7 ※北越紀州製紙、紀州工場構内

【新宮駅】
・キヤ95×1(DR2)
・キハ85、4両編成×2
・キハ11、2両編成×2

これらの車両の内、熊野市駅のキハ11については、尾鷲〜熊野市の再開運転に合わせ、無動力回送が実施された模様。
(同系キハ11又はキハ40系による牽引?)

鵜殿駅、新宮駅の車両は熊野市〜新宮間の再開まで留置先に留まることになります。

▲9月17日の新宮駅構内の様子。 
  JR東海、JR西日本の車両が留め置かれています。また、車両の行き来が無くなった線路は錆が浮き、黄色く見えています。

▲9月18日の鵜殿駅構内。
  同じく線路は錆が浮いて見えます。

  奥に見えるのはJR貨物のDD51 857号機。9月2日の2088列車で鵜殿到着後、この位置で留め置かれました。




各所の復旧工事は場所によっては昼夜を通して行われ、9月29日に「10月11日より通常ダイヤでの運行再開」が公式にアナウンスされます。

10月4日には、井戸川橋梁の仮橋と線路の敷設が完了。
信号・踏切などの電気工事の後、8日には井戸川での試験運転と線路錆取り列車がマルチプルタイタンパー(通称:マルタイ)により行われました。
尚、このマルタイによる錆取りは翌9日にも運転されています。


台風により冠水被害を受けた新宮駅構内も復旧作業が進められました。
105系電車を使用しての錆取りとポイント・信号設備の確認が行われ、一部箇所では手作業による入念な錆落とし作業が行われていました。

▲9月18日の井戸川橋梁。

▲9月30日の復旧現場の様子。

 橋脚2本と桁が撤去されH鋼による仮設工事が行われています。


▲10月8日、仮復旧が終わった状態。

▲10月8日に行われた、マルタイによる試験走行。
  多くの工事関係者が見守る中、数回走行を行いました。

▲10月9日の新宮駅構内。

 保線作業者の方々が手作業でレールの錆落しを行っていました。


▲同じく10月9日の新宮駅。

 錆落し、構内のポイントや信号機器の確認は105系電車によって行われていました。



運転再開前日の10日には、新宮駅構内で閉じ込められていた車両を使用しての本線試運転と、一部車両の回送が実施されました。
まず早朝にキヤ95を用い、新宮〜熊野市間を1往復。

続いてキハ85、4両編成が新宮駅から名古屋へ向けて回送されました。
さらにもう1本のキハ85、4両編成にて新宮〜新鹿間で試運転を1往復。(午前中に新宮駅へ帰着)

午後からは、キハ11を使用し2往復の試運転が行われました。

試運転に際しては踏切手前で停止、機器の状態を確認しながら徐行して通過するというものでした。
尚、8日のマルタイの本線走行時には、踏切は作動させていませんでしたが、10日の各試運転列車では作動していました。

本線試運転後も不具合箇所をチェックし、手作業での錆落とし作業が行われています。

本線試運転後、キヤ95は日が暮れてから名古屋へ向けて回送が行われています。
その他の車両は翌11日からの通常ダイヤ再開に備え、新宮駅でもう一晩過ごすことになります。


▲10月10日、AM7:08 キハ854両編成が留置線からゆっくりと出発。

▲同じく10月10日、最初の本線試運転を終えたキヤ95が新宮駅に戻ってきました。
  作業関係者がじっと見守っていました。

▲10月10日、熊野市駅。

 新宮駅に留置されていた2本目のキハ85が試運転を行い、再び新宮方面に向かって行きます。(新鹿で折返し)
 JR東海の工事関係者が安全確認で手を挙げています。


▲10月10日、PM6:20の新宮駅。

 キヤ95のヘッドライトが灯りました。「ドクター東海」名古屋への帰還です。



9月7日より運転されてきた熊野市〜新宮(一部紀伊勝浦)間での鉄道代行バスについても、10月10日に運行を終えました。
代行輸送を請け負った三重交通では、JR西日本区間の鉄道代行バスの一部も担当したことから、名古屋を除く全営業所から車両と人員を動員。

しかし10月11日以降もJR西日本の鉄道代行輸送を担う為、一部営業所の車両と人員が南紀地域に留まっています。

▲10月10日、開通前日。
  試運転が行われている紀勢本線を跨ぐ松原跨線橋を渡る代行バス。
 (三重交通南紀営業所から、熊野市駅への回送・出庫便)








10月11日(火)、始発より通常ダイヤで熊野市〜新宮間の運転が再開されました。
39日振りの再開でした。

ダイヤは通常でしたが、一部列車においては、車両のやりくりの関係で運用変更が行われました。

324C:所定キハ48・40×2→キ11×2
325D:キハ11×4→キハ48・40×3
330C:キハ11×2→キハ48・40×3


貨物列車は鵜殿発の2088列車から再開。

この運転再開初日、新宮駅では名古屋からの特急「南紀」号の到着に合わせ、歓迎のおもてなしが行われました。


▲10月11日、新宮駅。
  新宮市の関係者、報道陣が待つホームに、ワイドビュー南紀1号が入ってきました。


完全な復旧にはまだまだ時間がかかるものの、地域の生活や当地域の主要産業である観光の復興への大きな一歩になると思います。
同線の早期復旧に尽力されました、多くの関係者の皆様に感謝の意を伝えたいと思います。


また、本内容を執筆するにあたり、写真・情報提供及び助言をいただいた方々に御礼申し上げます。

2011.10.31
『紀伊半島のバスと鉄道』
管理人:尾仲英明


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